Design

新進気鋭のイラストレーター・一乗ひかる(前編)

一乗ひかるというイラストレーターの存在を知ったのはごく最近のこと。インスタグラムで流れてきた、鮮やかな色彩、大胆な構図の、どこかアナログな手触りのあるイラストに目を惹かれた。本人のアカウントを辿ってみると、すでに本の装画やPARCOのキャンペーン広告ビジュアルを手がけ、個展を含むさまざまな展覧会に引っ張りだこの様子で、控えめにいって「売れっ子」だった。しかし、イラストレーターとしてのキャリアは現時点でまだ一年半。彼女はなぜ、これほどのスピード出世を成し遂げつつあるのか? 早速本人にコンタクトを取ってインタビューにこぎ着けた。


デザイナー感覚を持つイラストレーター


── 一乗さんは、すでにご自身の作品からクライアントワークまで幅広く活躍されていますが、イラストレーターとして活動を始めたのはわりと最近のことですね。

一乗 2018年4月からです。イラストレーター歴は1年半くらいです。

── それ以前は?

一乗 デザイン事務所で1年間働かせてもらっていました。そこを退職してイラストレーターとしての活動を始めました。

── そもそもはデザイナー志望だったんですね。

一乗 学生時代はグラフィックデザイナーになりたかったので、そっちの勉強をしてました。イラストレーターになりたいと思うようになったのは働き始めてからですね。あんまりデザイン向いてないなと思って(笑)。学生時代、イラストについては他の人よりは描けるかもという自覚はありました。藝大生って皆デッサンは上手ですけど、イラストは意外と上手くないんだなって(笑)。かといって当時は別にイラストレーターになれると思ってなかったです。やっぱりイラストレーターって、ただイラストが上手くてもなれないので。

── それはどういう意味で?

一乗 仕事として使いやすいイラストが描けるとか、あるいは使いやすくても個性がある程度なかったら誰でもよくなってしまう。そういう職業意識が当時の自分には特になかったし、そこまで追求する感じでもないかなと。
続きを読む
── ちなみにデザイナーで尊敬したり憧れたりするのは?

一乗 グラフィックに興味を持ったきっかけは永井一正さんです。学生時代にすごく好きだったのは仲條正義さんですね。あの世代のスター的な人たちはわりと全員好きでした。でも、もともとちょっと不勉強なタイプなので、まわりの人に比べたらそこまで詳しくないです。だからデザイン向いてなかったのかもしれない(笑)。

──でも今の一乗さんの作品を見ると、やはりデザイナー視点が備わっていることが、この短期間で仕事が大量にくる状況になっている理由なのかなと。

一乗 描くときにデザイナーが使いやすいかどうかを考えてしまうので、それはあるかもしれません。構図もそうだし、画的には良くてもイラストとしては使いにくいことって、やっぱりあるので。そういう意味では、最初から仕事しやすいイラストになるように意識はしてました。

続きを読むには

CO:LABSに無料登録しよう
CO:LABSメンバー登録した時点で、利用規約へ同意したものとみなします。