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「DAIDO QUCON」スケートビデオを公開・上野伸平に訊く(11/15更新)

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オフィス街としても知られる東京都港区の新橋/虎ノ門エリアの新しい都市開発の一歩として、東京カルチャーシーンを担うスケーターたちによる新プロジェクト「QUCON(キューコン)」が誕生したのは、今年3月のこと。屋内のラウンジスペースや展示スペースに加え、屋外に約130m²のコンクリートスケートパークを併設。商品展示のための什器がセクションとなっているなど、洗練された空間にスケーターならではのマインドから生み出される遊び心が散りばめられている。

森山大道氏とのコラボで制作され、Evisen Skateboards らとの協業で完成したスケートボードデッキおよび「DAIDO QUCON」限定アパレルアイテムを、抽選で総数60名様にプレゼントします。応募方法はページ下部をご覧ください(11/15更新)。

その QUCON と、写真家・森山大道とのコラボレーションコレクション「DAIDO QUCON」が発表されたのは今年7月。森山が欲望の象徴として長らく写真におさめてきた“唇”をモチーフに、Tシャツ、ジャケット、バッグをラインナップ。そして Evisen Skateboards らとの協業で完成した森山大道スケートボードデッキも QUCON にて先行発売され、またこの企画のために、QUCON の内装も森山大道の作品で覆われ、期間限定の特別仕様になっていた。

「まさか僕の写真がスケートボードになったり、スケートパークの内装になるとは思いもよらなかった。僕の写真がプリントされた内装の中で、僕の写真がプリントされたスケボーを使って沢山の人達が滑っている姿を早く見たいと思っています」という森山大道のコメント通り、世代やジャンルを超えたこのコラボレーションの帰結として、QUCON のメンバーである上野伸平が制作した7分強のスケートビデオが、10月27日に渋谷の大型ビジョンに映し出された。

なぜスケートボードと森山大道という、一見繋がらない両者が繋がり得たのか。一連のことの顚末を、あらためて上野伸平に訊いた。


「DAIDO QUCON」コラボのきっかけ


── 森山さんと初めて会った時の印象について教えてください。

上野 大道さんが渋谷の街に展示をした「SHIBUYA / 森山大道 / NEXT GEN」という企画があって、そのパーティーのときに初めて挨拶しました。その次にお会いしたのは、今回の映像作品を作るにあたって大道さんのインタビューをしたときです。

大道さんの第一印象は、無骨な人ですね。ただ、お話ししてみると意外とお茶目だなという部分があったりする。まわりが神格化しているだけで、ご本人はチャーミングな方だと思いました。僕自身は写真家でもないので、いい意味でフランクに接することができたというか、すごく話しやすかった。
大道さんの作品はハイコントラストなモノクロ写真の極みであり、起源みたいなものじゃないですか。スケートシーンでも、いわゆるハイコントラストのブラックアンドホワイトの写真が根づいていますが、そういうものを辿っていくと、結局ここから来ているんだなと。やっぱり直接的にせよ間接的にせよ影響を受けているというか、流れとして繋がっている感覚はあります。もちろん大道さん自身がスケートトリックを撮影することはないと思いますけど、ちゃんと引き継がれている部分はあるんじゃないかと。

── そのインタビューでは、「写真は記録だ」「街のものは街に返す」「汚れるのがいいよね」といった、まるでスケートボードについて話しているかのような印象的な言葉が森山さんの口から次々と語られていきますね。

上野 話している中で自然と共通点が出てくる。大道さんは「だから出会ったんだよ」と言ってました。インタビューさせてもらって、ご本人からスケートとの接点とか共通点みたいなことを探りつつ、一方で森山大道という写真家の存在を、あらためて自分たちのまわりにいる同世代のスケーターやファッション界隈の人たちに知ってもらいたかった。僕らのまわりの人って大道さんのことを意外と知らないというか、名前や作品は見たことあっても、本質までなかなか届かない。


本質にまで届くコラボ


上野 この映像ではあの人がどういうことを考えているのか、写真に対する思いとか、そういうことをものすごく簡略化して見せている。それが入口になって、興味を持った人はそこからもっと掘る。写真集を見たり、他のインタビューを読んだり。そういうきっかけになればという気持ちもありました。

こういうコラボって、モノを作るだけなら意外と誰でもできる。関係性があったり、資本があったりすれば、生産するだけなんで作れてしまう。でも、本当に自分がやりたいコラボレーションは、それだけではなくて、自分たちじゃないとできないものにしたい。僕らはスケートボードを主軸にしていますが、その中でも映像はものすごくプライオリティが高いんです。だから「DAIDO QUCON」では、最終的なアウトプットを絶対映像にしたかった。
── 今回、映像作家として森山さんを意識した部分はありますか?

上野 いや、そこはまったくないです。自分の中で、ずっとスケートビデオの表現をやってきて、自分がスケートビデオに求めるものを100パーセント出してるだけで、森山さんを意識したというよりは、森山さんとの共同作業という形なので、人間として、写真家としての森山さんにインスパイアされているけど、いざスケートビデオを作るにあたって影響を受けたということはないですね。

── 自分のいつものスタイルで撮影していったと。プロジェクションマッピングでQUCONのスケートパークに森山さんの作品を投影して、その上をスケーターが滑っているシーンもありましたね

上野 あれは僕もびっくりしました。チームの中にそういうことができる担当者がいて、彼がやってみたかったという話をしていて、いざやってみたらすごかったので、これは今回のビデオに盛り込みたいなと思って。当初はそれを入れる予定はなかったんです。もともとパークに大道さんの作品をプロジェクションマッピングで投影するというアイデアは、(9/7にQUCONで行われた)BOILER ROOMの演出の一つとして準備していたものなんですよ。結果的にこのビデオの中で一番気に入ってるシーンになりました。

── あれは真俯瞰から地面に投影してるんですか?

上野 いえ、真俯瞰はできないので、特殊な鏡に投影したものを反射させて地面に映してるんです。面白いですよね。ただ、滑ってるライダーからすると滑りにくい。映像が流れると地面が動いてるように見えるので、流されてしまうんです。

── 期間限定でQUCONに森山さんの唇の写真を敷きつめた店内のシーンでも、ダイナミックなスケーティングが展開されています。

上野 ロングレンズとフィッシュアイを使うことは、スケートビデオではスタンダードなんですけど、僕の場合、フィッシュアイの接写に力を入れていて、「寄るなら寄る、引くなら引く」という感じで自分の中でメリハリを付けてます。広角レンズを使うならそれを120%活かせる画作りをしたいので、そういう意味ではあまりスタンダードな撮り方ではないかもしれない。グッと寄ったら、次の瞬間にはグッと離れる。その緩急がないと、見続けるのがしんどくなってくるので。曲もYO.ANという仲間のアーティストと一緒に作っていて特に気に入ってます。

スケートビデオを作り続ける意味


── 先ほど「スケートビデオのプライオリティが高い」と仰ってましたが、それはどのような意味で?

上野
 スケートボーダーって、本来地味な存在なんですよ。僕らがやっているようなスケートボーディングって、例えば、どこかのビルの入口のハンドレールに、いつも警備員が立っていると。でも、夜中の2時から3時の1時間だけ巡回でいなくなるから、その時間帯に投光器を持って、カメラマンと仲間を連れてスケートの撮影にいくわけです。そんなのって、誰も見てないじゃないですか。その1時間で100回ぐらいトライして、血みどろになって、汗だくになって、「撮れた!」と喜び合って抱き合う瞬間は、全然光を浴びないんです。
例えばミュージシャンだったら、ライブで脚光を浴びたりするけど、スケーターはそういう瞬間を見られていない。僕は作り手として、上映会はスケーターがスターになれる唯一の瞬間だと思っているんです。もちろんコンテストやデモもありますけど、そういうところで真価を発揮するタイプの人間ばかりではないので。

だから、僕が一番やりたいのは、でかいスクリーンでスケートビデオを上映することなんです。今回は約7分のショートフィルムなので、大道さんに所縁のあるバーVERONIQUEをお借りして最低限の簡易スクリーンで上映会をやりましたが、一時間越えの作品だと絶対に映画館でやりますね。
── なるほど。成功したシーンばかりではなく、その前に失敗したシーンが挿入されたりするのも、「知られざるこの1回」を見せるための編集なんですね。

上野
 そうです。乗れて当り前のものは撮らずに、スケーターが自分を超えていく瞬間を撮りたいので、時間はかかります。撮影日が決まっているのに、「成功しなかったから撮れませんでした」ということが起こるのは、多分スケートビデオが唯一じゃないですか。他の撮影だったらありえないですよね。そういう意味で厳しい世界ではあります。「やっと乗ったのに、その瞬間録画ボタン押してなかった」とか「撮影の後、飲みに行った勢いでビデオバッグごと失くした」とか、そういうこともありますから(笑)。
上野伸平

1983年生まれ、大阪府出身。TIGHTBOOTH PRODUCTIONを運営しながらEvisen Skateboardsのプロライダーとして活動。数多くのスケート映像作品を発表し、代表作である『LENZ Ⅱ』は国内外からも高い評価を受ける。幅広いアウトプットを持ち、スケートショップやアパレルブランドのディレクション、MONCLER GENIUSやGUCCI等へのプロデュースワークなど多岐にわたる。2019年にQUCONを主宰し、現在、自身が手がける映像作品「LENZ」シリーズの最新作を制作中。

QUCON(キューコン)
東京都港区西新橋2‑19‑5 カザマビル1F
TEL:03‑6402‑4195
営業時間 11:00~20:00(定休日:水・木)
Official Website: qucon.tokyo
Instagram: @qucon_tokyo

写真家・森山大道 x QUCONコラボ作品「DAIDO QUCON」
スケートビデオ公開記念プレゼントキャンペーン


写真家・森山大道氏と QUCON のコラボにより生まれた「DAIDO QUCON」スケートビデオ。公開を記念して、Evisen Skateboards らとの協業で完成したスケートボードデッキや限定アパレルアイテムを、抽選で60名様にプレゼント!

DAIDO x EVISON SKATEBOARD


森山大道氏の写真を全面にプリントしたコラボデッキ。DAIDO QUCON のロゴ入り。


抽選に挑戦!

DAIDO BACK PACK


森山大道氏の写真をプリントしたバックパック。内側ポケットには DAIDO QUCON のロゴ入り。


抽選に挑戦!

DAIDO QUCON TEE


森山大道氏の“唇”の写真と DAIDO QUCON のロゴと共にプリントした限定アイテム。


抽選に挑戦!

DAIDO BOSTON BAG


森山大道氏の写真をプリントしたボストンバッグ。DAIDO QUCON のロゴ入り。


抽選に挑戦!