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靴を通して社会に従事する靴職人・五宝賢太郎 (後編)

港区・六本木から徒歩10分ほどの場所にある「グレンストック」。人通りの多い繁華街から一本外れた路地にある、シューリペアとオーダーメイドをおこなうヨーロッパスタイルの靴工房だ。その店主、五宝賢太郎(ごほうけんたろう)は多数の海外高級ブランドのシューズ製作も手がける業界を代表する靴職人である。インタビュー後編では、今もまだ新たな目標に向かって、靴への探求を続ける五宝賢太郎に現在の仕事、今後の展望について訊いた。


昆虫の生態がインスピレーションに


──「グレンストック 六本木」はどのようなコンセプトでオープンしたのですか。

五宝
 イメージしたのはヨーロッパにある靴屋です。ヨーロッパの店は、サンプルの靴しか置いていないんです。足を測るところからスタートして、お客さん一人一人に合う一足を仕上げていく。一方、アメリカや日本の靴屋は、同じモデルの違うサイズがたくさん並べられて売られているし、売る場所と修理する場所が完全に分かれていますが、そういうスタイルはとりたくなかったんです。
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── 五宝さんは一般のお客さんから高級ブランドまで、様々なニーズに合わせいくつもの靴製作を受け持っていて、アウトプットの量も大変だと思います。逆にインプットというか、一番インスピレーションを受けているものはなんですか?

五宝
 僕は自分で虫採りに行くぐらい昆虫が好きなんですよ。昆虫って不思議なんです。成長していく過程で、動物の進化論では当てはまらないスピードでいろいろなことが変化していく。幼虫の時に歯だった部分が、蛹になった時に染色体レベルで中の要素がシャッフルされて成虫になった時には足になっていたりする。昆虫って体の構造も面白いんですよ。意外なところから奇想天外なものが急に出ていたりする。それがヒントになって靴製作に活かされる時もあります。海外の有名デザイナーも虫の標本を作ったりしていますからね。

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