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ジャンルを越境するゲーム音楽家、古代祐三 (前編)

ゲーム音楽家として30年のキャリアを持ち、縦横無尽に音楽のジャンルを越境し続ける古代祐三(こしろゆうぞう)。あらゆる音楽のジャンルに対する理解は、思春期の頃に身についたものだった。そのキャリアの発端になった音楽体験、そして近年再び注目を集めるきっかけとなったRed Bull Music Academy主催の『Diggin’ in the Carts』におけるライブセットについて伺った。


YMOがすべてを変えた


古代氏が自主的に音楽を聴くようになったのは、思春期を迎えた小学校高学年の頃。反抗期に差し掛かった頃でもあり、両親の「英才教育」には反抗していたが、自分なりに好きな音楽を模索し始めた時期でもあった。

古代 「自分の中で、大きなターニングポイントになったのは、日本の電子音楽グループ・YMOです。見た瞬間、ものすごく衝撃をうけました。それまで聴いていた歌謡曲のようなものとは全く違う次元のものがそこに登場して。私は幼い頃から機械もの、計器類が子どもの頃から大好きで。パイロットみたいに、メーターのようなものに囲まれているのが大好きなんですよ(笑)。YMOは、そういう機械に囲まれて曲をやっていた姿が、めちゃくちゃカッコいいなと思ったんです。もちろん音楽そのものがいいということが前提にありますが」
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幼い古代少年を電子音楽に目覚めさせたのはYMOだった。テクノに夢中になった古代少年に母が与えたのが、コルグのアナログシンセ「デルタ」だった。当時は珍しい、低価格帯のポリフォニック(和音が出せる)シンセ。モノフォニック(単音しか出せない)シンセが主流だった当時には画期的な製品だった。

古代 「シンセ機能とストリング機能が付いているので、YMOの真似がだいたいできるものでした。うれしくてずっとやっていました。その後はPC-8800(NECのパソコン)で作曲をするようになったので、機材はずっと買っていなかったんです。当時は高かったですしね」

PC-8800といえば古代サウンドを生み出したことで知られるパソコンだ。限られた性能のなかで、いろいろな音を再現しようとした、一点突破の工夫も、古代の個性につながっていった。特にスーパーファミコンソフトの『アクトレイザー』では、たった8音が織りなす壮大な交響曲で業界とファンに大きな衝撃を与えた。

古代 「『アクトレイザー』で使えるのは8音でしたが、1音を効果音に回しているので実質7音で作り上げました」

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