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ゲーム音楽のレジェンド、古代祐三の創作術 (後編)

ゲーム音楽家として30年のキャリアを持つ古代祐三(こしろゆうぞう)氏。去る2019年12月に開催された電子音楽×デジタルアートの祭典「MUTEK.JP」において、同じくゲーム音楽界のレジェンドである川島基弘氏とタッグを組んで出演したことも記憶に新しい古代氏に、ジャンルを超える古代サウンドの秘密について訊いた。


ビンテージ・サウンドへのこだわり


今回の取材は、古代祐三氏のスタジオで行った。スタジオ内には、スタインウェイのピアノやビンテージ機材などが取り揃えてあり、音作りとともにレコーディングもここで行っているという。

古代 「作業場兼レコーディングスタジオになっています。造ってから6年経ちますが、おそらく9割ぐらいのレコーディングをここでやっていますね」
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スタジオ内には、丁寧にメンテナンスされたビンテージの機材がずらりと並ぶ。

古代 「いわゆるビンテージ・サウンドにこだわっています。中核になっている、マイクプリアンプやコンプレッサーが、だいたい80年前期ぐらいから90年代前期ぐらいまでのもので、70年代後半のものもあります」

完全特注した機材も中にはあるという。

古代 「このコンプレッサーは世界中探しても多分50台もないんじゃないですかね。かなりレアなもので、これ一つで、一発で世界が変わるぐらい素晴らしいんですよ」

古代氏といえば「FM音源の神」と呼ばれているが、メロディやリズムだけではなく、サウンド・メイキング、つまり音の音質についてもきめ細やかな仕事をしている。

古代 「PC-88シリーズ(NECのパソコン)でサウンドを作っていた時代からそうですね。メロディなどのおたまじゃくしの部分よりも、出力する部分の「良さ」は、何よりも大事だと思っています。だからアウトプット・インプットを担う機材には気を使っています」


絶対に「デジタル化」できない音作り


通常であれば、ビンテージ・サウンドを表現するためにはコンピュータで音色を再現する「エミュレータ」を使うことが多い。だが古代氏は、エミュレータは使わない。

古代 「例えばコーラスのエフェクターだと、エミュレータとビンテージの機材とでは音の深みが全く違うんです。今はアナログシンセの復刻が流行っていますよね。私もたくさん持っているし、デジタルシンセもすごく音はいい。でも、私が思うに、実はシンセよりもエフェクターのほうが重要なんです。アナログエフェクターを通すと、奥行きが全然違うんですよね」

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